SCANDII’S SPECIAL ISSUE THE CHAIR

PP501/PP503 ザ・チェア

ハンス・J・ウェグナー 1949
PP Mobler

これを知らなきゃ北欧は始まらない!

北欧家具界の巨匠ハンス・J・ウェグナーの名を世に知らしめた最高傑作といわれるのがこの「PP501/PP503 ザ・チェア」。
数多くのウェグナーの作品の中で「最も完成度が高い」といわれる美しさとドラマティックな逸話で世界中から愛され、「椅子の中の椅子」という敬意を込めて「ザ・チェア」という愛称がつきました。 「ザ・チェア」と言う愛称の椅子は世界で唯一。北欧の代表にして、世界のチェアの中でも代表的存在です。
発表から60余年。 ドラマティックな歴史を持ちながらも、木の温もりを楽しめるタイムレスで美しいチェアは、使い込むほどに風合いを増し、時とともに味わい深くなる「人生のパートナー」にふさわしい逸品です。
「PP501」は座面が籐張り、「PP503」は座面がレザー張りです。

歴史の証人、オトコの勝負チェア

1960年のアメリカ大統領選で、ジョン・F・ケネディとリチャード・ニクソンのあの伝説的なテレビ討論会でこのチェアが使用され、颯爽と足を組みチェアに腰掛け、討論を制したケネディが勝利。「PP501/PP503 ザ・チェア」がアメリカをはじめ一躍、世界中の注目を集める。
そのおよそ50年後、ケネディを敬愛している米・オバマ大統領もCOP15の会談で使用。
オトコの勝負チェアとしても活躍。

近代家具デザインの象徴としてMoMAに展示

20世紀以降の現代美術の発展に多大な貢献をしてきたモダンアートの殿堂、ニューヨーク近代美術館(MoMA)。
その建築・デザイン部門のパーマネントエキシビション(常設展)のラインナップに1953年より登場。
ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェア、イームズのラウンジチェア、ル・コルビジェのソファなど世界の名作チェアと並び、近現代モダンチェアの代表選手として堂々と鎮座している。

メイド・イン・デンマークの誇り、品格あるスタンダード

現・デンマーク女王マルグリーテ2世をはじめ、フレデリック皇太子などデンマーク王室の面々やデンマーク・ラスムセン元首相が公式の場で使用。
メイド・イン・デンマークを代表する作品として王室・国家に認められているチェアでもある。
公式の場でも凛とした存在感を放ち、「品格あるスタンダードチェア」として、世界の王室や政治家などのセレブリティにも愛され続けている。

渾身の職人の手作業で、一脚ずつ丁寧に

ウェグナーらしい、無駄を一切省いたシンプルなフォルムもさることながら、このチェアの最大の美しさは、アームと背をピタリと接合したフィンガージョイントをアクセントとして見せながら、全体としては優美な曲線を描く「笠木」部分。
現在でも当時のウェグナーの意志に忠実に従い、職人の手作業により一脚ずつ丁寧に作り上げられている。
手のひらにしっとりと馴染む繊細な曲線は、鉋を使わずヤスリで磨き上げる北欧独自の加工方法「サンディング」で仕上げられている。

「THE CHAIR」はなぜ名作と言われるのか?

発表時、あまりのシンプルさに「みにくいアヒルの子」と言われていたチェア。
しかし、本物の価値を愛する歴史的人物たちによって支えられ、60年後「ザ・チェア」という不動の称号を持つチェアとなる。

確かに一見すると何の特徴もないシンプルな椅子に見える。
「ザ・チェア」はなぜここまで愛されたのか。
その理由は、、、、「座れば解る」に尽きる。

ウェグナーのクラフトマンシップとデザイナーとしてのこだわりが生み出した、細部にいたる細やかな気配りと隙のない座り心地。
身体をゆだねれば、その繊細なラインからは想像もつかないほど深く包まれる安心感。

一瞬、魔法がかかったような感覚にさえなるほど「昔からよく座っているような懐かしさ」が身体にじわじわ湧いてくる。
アームの絶妙な高さと丸み、背からアームのラインをそっと撫でれば指が心地よく滑る丁寧な職人技、どれをとっても非常に繊細かつ完璧で、座れば座るほどに心身に染みてくる。
背もたれからアームに至る何とも艶やかで優美な曲線は、時間の流れさえ変えてくれるような視覚的な効果をもたらす。

時には安らぎ、時には集中力を高め、時には自分を取り戻し自信を持たせてくれる。
椅子の原点とはこういうことだったのかと悟らされるのである。

そして人生の大切な瞬間をともに過ごしていきたい気持ちが芽生える。
そう、「ザ・チェア」は「椅子に座る」ことの真の意味を私たちに教えてくれる、まさに「椅子の原点」なのである。

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