巨匠ハンス・J・ウェグナーがデザインしたロッキングチェアの中でも、最も有名なのが当時のFDB(デンマークの生協)から出された、この「J16ロッキングチェア」。

ウィンザーチェアとシェーカーチェアの流れをくんだ形で、線が細く端正な面持ちがあり、シンプルにまとめられています。

木の美しさを活かした繊細なタッチと、シンプルで美しく堅牢なデザインの融合、この作品にはウェグナーの親友であったボーエ・モーエンセンの面影を感じることができます。

実は当時、デンマークのコペンハーゲンで、シェーカー家具の展示会があり、そこにウェグナーと、彼の友人ボーエ・モーエンセンが一緒に来ていました。
二人がシェーカーのロッキングチェアに腰掛けて話をしていると、FDBの社長がやってきて、新しいロッキングチェアのデザインを依頼されたのです。

現在、「J16 ロッキングチェア」はウェグナーのデザインとされていますが、専門家はモーエンセンとウェグナー2人の共同作品だと見ています。

当時の様子を知るクビスト（旧FDB）社の職人も、「FDBの工場で2人がプロトタイプを作っていた」と、証言しています。
サラリーマンだったモーエンセンは、FDBの権利となるこのデザインに署名することはなく、フリーランサーのウェグナーのサインのみが入ったのだと推測されているのです。
若き巨匠２人が熱く語り合い創作意欲を燃やして取り組んだ、至極のロッキングチェアと言える作品です。

また、アーム部分が柔らかな曲線を描き、前方部分が外に開いている特徴的なデザインは、当時妊娠中だったウェグナーのインガ夫人のために腰掛け易く、また楽に立てるよう、そして子供を抱く母親と共に赤ちゃんの「ゆりかご」としても利用できるよう設計されました。
家族や友人、座る人間すべてを大切に想いデザインする、北欧家具デザイナーの心あたたかいストーリーが凝縮されている逸品です。

オークやウォールナットフレームの場合は、ナチュラルペーパーコードのみとなります。

オプションで、お好みのファブリック・レザーにてJ16専用のシートクッション、バッククッション、ネッククッションを追加でき、さらに快適な座り心地を提供してくれるフットスツール（別売）もご用意しております。