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ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー

ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー氏の生涯

幼い頃から木を削る事が好きだったウェグナー氏。
14歳の時、家具職人になるために近所の木工所に弟子入りしました。
計算が苦手とは思えない、図面の上で生み出される美しいフォルムと構造。
それには、どんな難関が立ち塞がっても諦めない、ウェグナー氏の家具に対する強い思いを感じる事が出来ます。
その後、17歳の時に指物師のマイスターの資格を取得し、家具職人の元で修行をした後美術工芸学校に入学。
卒業後は『アルネ・イミール・ヤコブセン』というデンマークのデザイナーの元で働き、29歳の時に独立しました。
日常の、一番身近にある家具だからこそ、美しさと機能性を追求し続けていたウェグナー氏。
自分の体形が、標準的なデンマーク人と同じだという事が自慢だったといいます。
それは自分の座り心地と、標準的なデンマーク人の座り心地がほぼ同じだと考えていたからです。
家具デザイナーであり、芸術家であるといっても過言ではないウェグナー氏。
彼の92年の生涯は、椅子と共にありました。

椅子に対する情熱、その信念

家具デザイナーが家具を作る際、設計図を書き、そこから職人と共に形にするのが通常の流れです。
ですが、ウェグナー氏は新しいデザインを起こす度に、設計図を書く前に自らの手で五分の一の模型を作っていました。
座り心地や制作過程、構造を確認し、修正し、そこから設計図を書いていたのです。
医師とも話し合いを重ね、人間の体に合うよう修正を重ねて行ったと言います。

品質に対しても妥協しないという強い信念と、常に新しい事に挑戦し続ける心を持っていたウェグナー氏。
様々な工房に足を運び、日々デザインに対する造詣をさらに深めていきました。
難しい工芸的な問題にも積極的に挑戦し、結果的に500脚を超える椅子を生み出すことになったのです。

PP701チェア

木製の椅子を多く作ってきたウェグナー氏ですが、スチール製の椅子のもちろんあります。PP701チェア。この椅子は、ウェグナー氏が家族の為に6脚だけ作ったダイニングチェアです。
食事が終わった後も団欒を楽しめるよう、背もたれと一体化したアーム。
その作りには家族への愛情を感じざるを得ません。
元々自らダイニングチェアを作る予定はなかったのですが、理想の物に巡り合えず自分でデザインする事になったようです。
ウェグナー氏に「数多くある椅子の中で一番気に入っている椅子はどれですか?」と質問したところ、ウェグナー氏は同じ質問を奥様にしました。
奥様は「PP701チェアが一番気に入っています」と答えたそうです。「私の為に、家族の為にデザインしてくれた椅子ですから」と。
それを受けて、ウェグナー氏は「私もPP701チェアが一番気に入っています。君が一番気に入っている椅子だからね」と答えたそうです。
暖かい夫婦の想いがこもっているPP701チェア。
当初製品化する予定はなかったのですが、その美しさと機能性に製品化の要望があり実現しました。

ハンス・ヨルゲンセン・ウェグナー

生涯、椅子のデザインに心血を注ぎ、妥協する事無く様々な挑戦を続けてきたウェグナー氏。
ウェグナー氏がデザインした椅子は、ニューヨーク近代美術館をはじめ、世界中の多くの美術館でコレクションされています。

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